Ontrack Now

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 ■■      ■             ■      豆知識  Vol.05-01
■  ■     ■             ■ ■       媒体の内部構造
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=============================================================2007.01.29=========

今月は編集子、なんとなくドダバタ、尻が落ち着きませんでした。 頭の整理もつかず。
そこでデータ・復旧対象の媒体内部写真とメモリー・カード類のデータ復旧について
チョコッと触れてお茶を濁させて頂きます。

Flash Memoryを使用したカード類について、株式会社ワイ・イー・データは
USBインターフェースのカード・リーダ/ライターを設計・製造し、国内・外にOEM
供給しています。 このため、媒体の読み書きに関する物理層の制御、各媒体の要求仕様
等についての情報を持っていますので、専用の読み取り装置を準備する事が出来ます。
また、分割記録された画像ファイルの回収に関しても市販されているフォト・リカバリー
・ソフト類とは異なるファイル再構成方式の回収ソフトを作っていますので、削除を繰り
返しながら撮影された媒体からでもデータ部の上書きやリードエラーによる欠損がない
限り、100%の回収が可能です。

しかしながら、弊社のようにハード/ソフト両面の技術があってもFlash Memory
媒体自体のハードウェア特性から、ディスクに較べるとどうしても復旧出来る確率は低い
ものになります。 今回はこの辺りを説明しておこうかと思います。

【媒体の種類と内部構造】

− SCSI HDD (Seagate Cheetah 10000rpm Model)
FC/SAS/SCSIというインターフェースの
HDDは一般的にサーバー等のヘビー・
デューティな所に使用されます。 そのため、
パーツ精度、データの信頼性保証の手法も
ATAより1桁良いものになっています。 
たとえば、ヘッドを駆動するためのVCM用の
永久磁石の組み付けも上下からきっちり
ネジ止めされています。 下のATA系は
ヘッドを駆動するモータのコイル部が
見えるよう上部の永久磁石を取り外し、
蓋の方に置いていますが、このドライブでは
シャーシ側を外さなければならないので、
手抜きをしてそのまま撮影しています。

− ATA HDD (Maxtor DiamondMax 10 ATA Model)
VCMの磁石は強力です。もし壊れたHDDを
分解して見るような場合は、指を挟まないよう
注意してください。 蓋側に見える黒い帯は
シール材で、これで気密を保ちます。 
しかし、水害、漏水等で動作中に水に
浸かると、ケースが急激に冷やされるため
内圧が下がる事もあり、屈曲部から水と
砂の細粒が侵入します。 これが記録面に
付くと表面の潤滑材に刺さり、記録面にまで
食い込んでしまいます。 ヘッドアーム部は
アルミですので、イオン化傾向から水に
浸かると記録面との間で急速に腐食が
進みます。 特に海水、糞尿の混じった
水に浸かった場合は3日ともたなかった
例もありました。

− 2.5”ATA HDD (IBM DCXA-210000 ATA Model)
3.5”とヘッドの位置が違う事にお気付き
ですか? 
2.5”では、停止時の耐衝撃性を高める
ため、ヘッドは、記録面の外のプラット
フォームに退避する構造になっています。
最近では3.5”でもこのタイプが増えつつ
あるようです。
3.5”では内側にあるのは、起動トルクが
最小で済むからですが、そのままでは
ヘッドが記録面に貼り付いてしまうため、
この領域(ランディング・ゾーン)の面は
見た目ではわかりませんが凸凹が
付けられています。

では、ちょっとトラブルを起こしたものの写真をお見せしましょう。
これは落下の衝撃で曲がってしまった
ヘッド・アッセンブリーの先端部です。 
右側と見比べて見て下さい。 この状態で
ドライブを廻してしまうと何が起きるかは
言うまでもありませんよね。 だだし、
落とした際の見た目や音と、実際に
ヘッドや軸に掛かる衝撃は一致しません。 
編集子の経験では机の上から1m位
先まで飛ばしてしまい、リノリュームの
床材に三角の跡が数箇所付いたにも
関わらず、偏芯もヘッドの変形も何も
起こさなかったケースもあります。 
反対に、バタンと倒しただけなのに、
ヘッドが曲がったというのもありました。
これはヘッドが変形した状態で廻して
しまった例ですね。 
ヘッド先端部の幅で記録面が削られて
しまっています。 赤く囲った部分には、
記録面を削ったカスが綿ぼこリのように
固まって付いています。 この例では
削った溝にヘッドがはまって動けなく
なっていますが、通常電源投入時には
記録面全幅をスイープしますので、
その度に記録面を傷つける事になります。 
また、アドレスが取れない時も再度
0トラックに戻り、リトライをしますから・・・
この写真はディスクの中にあるフィルタ
です。 右は正常な物、左はクラッシュした
ドライブの物です。 記録面を削った粉が
ドライブ内に飛び散った証拠です。
こうなると記録面にヤスリを掛けたような
ものですね。 肉眼で見た際には鏡面に
見える状態でも顕微鏡レベルのおいては
傷だらけという状態で、データはまず
読めませんし、この状態のドライブに
代わりのヘッドを入れるとあっというまに
ヘッドが壊れてしまうでしょう。
別の例ですが、これはドライブが熱く
なり過ぎ、サーボが取りきれずヘッドが
暴走し、共振から記録面をヘッドの角で
削ってしまったケースです。 角の部分に
削りカスが付着しています。

2006年4月号に記録面の状態(磁気現像)
やヘッドのアライメント状態、クラッシュ事例
等の写真があります。

− SmartMedia/xDの構成

SmartMediaは市場からは消えつつある
ようですね。 依頼もほとんどなくなって
います。 

xDは全て樹脂封止されていますので、
メモリー・チップを取り外してという処理は
出来ません。

新しいタイプのものは、チップの中にメモリ
コントロール用のCPUを持つようになって
いますので、外側からアクセスのタイミング
をずらす等を行って無理やり読み取る
といった事が出来なくなっています。

− Compact Flashの構成
CompactFlashは形状は大きいですが
樹脂フレームの中に基板を入れ、金属の
カバーで覆っただけの構造です。水の中に
落としたような場合、外側から乾かしても
中には水滴が残っていたり、腐食による
ショートに気付かない事が多いようです。 
コネクタ側からめがね用のドライバで
えぐればカバーが開きますので、基板
単体にしてアルコールで洗浄し、その上で
素子の足の部分を綿棒にアルコールを
浸して掃除をし、足の間がショートして
いない事を確認して下さい。 無理な力を
掛けるのは禁物ですが・・・自信がある方は
やってみては? その結果については、
誰も保証はしませんが、上手くやれば
掃除をして元のケースに戻し、読む事が
可能です。 リーダを壊す可能性も
承知の上でお試し下さい。

− SD/Memory Stickの構成
SDは薄い樹脂ケースの中に直でボンディング
されたコントローラとメモリー・チップが乗った
基板ものが主流ですが、最近はモールディング
されたものが出始めているようです。 
樹脂ケースのものは軽く、挟むと凹む感じが
あります。モールド品はがっちりしているので、
機械的ストレスには強いのですが、私たち復旧
業者にとってはありがたくない・・・。メモリー・
チップが外せませんから、コントローラが正常に
動作しなくなるとお手上げになりますからね。

このメモリー・スティック・デュオは樹脂
ケースにチップ化された素子が入っている
だけの構造になっています。 メモリー自体が
この素子の中に組み込まれていますので、
メモリー・チップだけを取り外してという事は
出来ませんね。 まだ基板型の物もあるよう
ですが、早晩1チップになってしまうでしょう。

USB−メモリーもSDなどと同じ様にPC側の
インターフェースとはシリアル伝送でデータの
授受を行います。 見た目は水晶発信子や
レギュレータが付いていますが、同じ構成と
いってよいでしょう。
これで多いのはコネクターと基板の結合部
損傷でしょう。 抜き差しの際にどうしても
ストレスが掛かりますし、物をぶっつけたり
する事もあるでしょうから。 基板は非常に
薄い物でしなるため、半田付けが取れたり、
パターンが切れるといった事が起きます。 
これに対する耐性を上げるてめに硬質の
樹脂で端子部をカバーするといった事も
行われます。 こうなるとメモリーチップが
取れなくなる場合もあり・・・
上図から、SmartMedia/xD以外の媒体は、その媒体側にインターフェースと
メモリ・アクセスを制御するためのチップを持っている事がわかります。 このチップで
全てを制御しているため、メモリに記録されているデータ及びメモリ素子自体に障害は
なくともこの素子に障害が起きると、装置側からはアクセス不能になってしまいます。

SmartMedia/xDは、メモリ素子以外は装置側にありますので、制御方法を
変える事で不安定になった媒体からデータをより多く読み出せる可能性を持っています。
製品として市販されるカード・リーダ/ライターでは、それぞれの媒体の要求仕様に従い
互換のない媒体や異常を検知した場合、異常を返すと共にデータ自体へのアクセスを禁止
するよう設計されています。

これらの媒体の記録素子には1987年に東芝が開発したNAND型フラッシュ・メモリ
が使用されています。 消去や書き込みの速度が速く大容量化に適した仕様になっていま
すが、ブロック単位での読み書きしか出来ないので、ランダムアクセスは遅いという弱点
があります。 また、電源を切っても記録は保持される反面寿命があり、同一ブロックに
対する書き換え可能回数は1〜10万回と言われています。 この寿命を伸ばすため、
書き戻す場所を毎回変える事で同じ場所の使用回数を減らすという手法が取られます。 
この事が素子に障害が起きた場合、データ回収を困難なものにしてしまいます。 
なぜなら、この制御はメモリをコントロールする素子およびメモリ自体の物理的な仕様に
より異なるからです。

【Flash Memory媒体の復旧阻害要素】

1. 寿命延長のためのランダム・マッピングが行われる。 制御素子障害により、
   マッピング・テーブルが失われるとメモリ素子の制御情報域の読取りが出来ねば
   データ回収の方法がなくなる。
2. 同一型式でも基板パターン、制御素子、メモリ素子がロット/生産工場等により
   異なる。 特にUSBメモリー(あまりにメーカー・種類が多い)。
3. 交換不能な素子の使用、容量の異なる素子の使用、フル・モールディングの採用。
4. 素子側でメモリー・アクセスを完全制御(媒体が認識出来なければほぼ処理不能)。
5. 読み取り装置側での完全エラー制御(僅かでも異常があれば媒体認識不能となる)。

媒体が認識出来ない場合、そのほとんどが制御素子の損傷ですが、最近増えてきたSD
等のフル・モールディングものでは分解そのものが出来ませんので、処置が出来ません。
また、先のマッピング制御のため完全に互換性の取れた同一機種の手持ちがない限り、
ほとんどの場合、データの回収は不能となります。 メモリー・チップを取り外し、
これから直接回収するといった手法はメモリー・チップのマッピング法が判っている
場合に限られるからです。

【媒体の寿命】

Flash Memory媒体では未使用領域を利用したランダム・マッピングを行うため
空き容量が少なくなればそれだけ同じ箇所を使用する確率が上がります。 ただ、カメラ
媒体では削除を行わない限り連続書き込みを行います。書き換えが発生するのは画像DIR
だけですし、一般の方では1万回も全体を書く程撮影される事はないでしょうから、寿命は
無視しても良いでしょう。 すこしでも長くしたいという事であれば、撮って削除撮って
削除のような1枚づつの削除は行わず、ほぼ一杯まで撮影して前半と後半を半分交互に
削除するという方法が考えられます。 ただ、メーカーは媒体の全体書き込みを行い、
リマッピングを行うフォーマットを推奨しているようです。

USBメモリーの場合、例えば、編集子のように4GBのCF中に2GBの暗号化
ボリュームを作り、この上でほぼ全ての作業を行っている条件下で、1日に10ファイル
の更新と10ファイルの新規作成を行い、平均ファイル容量を100KBとしたとすると、

稼働日170日/年 X 20 X 100KB =340MB/年 これに応じてDIRの
書き換えも発生しますので、この倍量が書き換えられるとしても、4GB媒体では1回
にもなりませんので、事実上は気にする必要はないようですね。

                               以上

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